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ふゆゆん亭

ふゆゆん亭

私が読んだ本・2

●私が読んだ本・2● 

「君を乗せる船」 宇江佐真理著 文藝春秋
―髪結い伊三次捕物余話―

君を乗せる舟


廻り髪結いの伊三次が辰巳芸者のお文と所帯を持ち、
息子の伊与太も生まれ、お文は時々芸者仕事を
するようになった。


・妖刀
 刀剣を扱う「一風堂・越前屋」に持ち込まれた刀が
 名刀ばかりで、問題があるかもしれないと不安を感
 じた主が八丁堀常廻り同心の緑川平八郎に相談を持
 ちかけた。そこで不破の元から伊三次に調べに入る
 ように指示が来た。刀を持ち込んだのが数年前まで
 屋敷奉公をしてた女隠居らしい。下手に役人が手出
 しを出来ない。伊三次は髪結いとして女隠居の暮す
 寮に出向く事となった。

 感想。思わぬ展開に情況を図りかねました。
 伊三次はすごいねと、益々ファンになりました。
 (それが感想ですか!)(^^;
 

・小春日和
 六助という左官職人は半年足らずの間に婦女子への
 暴行、傷害、殺しと、悪の限りを尽くしていたが、
 奉行所の小者達や通りかかった深川のとび職数人に
 追われることとなった。しかし身の軽い六助を捕ま
 えられずに手こずっていた時、通り掛った菅笠の武
 士が背負い投げをして押さえ込んでくれた。この武
 士は名前を偽ったのだが、その事情や人柄を知ると
 伊三次は肩入れをしたくなった。

 感想・正直者で心の正しい人故に追い詰められてい
 た人が幸せになって行くのはうれしい事です。


・八丁堀純情派
 八丁堀廻り同心、不破友之進の長子龍之介は元服を
 迎え、奉行所に出仕の運びとなった。無足の見習い
 五名のうち四名が幼馴染であり、残りの一名は古川
 家に商家から養子に入った喜六だった。同じ頃に江
 戸市中を騒がせている六人組がいた。悪事を働く訳
 ではないのだが、明け方に町木戸を乗り越えて高い
 所に上ったり、上野の山で雄叫びを上げたりとふざ
 けた所業で江戸をかく乱していたのだが、何分にも
 足が速くて動きが敏捷なために捕まえる事が出来ず
 「本所無頼派」と呼ばれていた。同じ六人組と言う
 事で八丁堀の見習い組は「八丁堀純情派」とふざけ
 て言われた。見習い組は自分達で「本所無頼派」を
 捕まえようと喜六の実家に泊まり込む。

 感想・小さかった龍之介が元服を迎えて名前も龍之
 進と改め、仕事を始めて友人たちとの付き合いも深
 まり成長して行く様は頼もしい思いがありました。


・おんころころ
 幽霊が出ると噂があり、長い間空き家だった冬木町
 寺裏にある仕舞屋を借りる事となった浪人父息子が
 今住んでいる家も何やら曰くがあって人が住み付か
 ない所を件の父息子は5~6年も住んでいると言う。
 赤ん坊の伊与太が疱瘡にかかりどんどん衰弱して行
 く中、伊三次は不安に取り付かれながらも件の父息
 子が住んでいる家の近隣の娘が3人行方知れずになっ
 ている話を聞き、調べ始める。

 感想・私の娘も生後4~5ヶ月ほどで息子から水疱瘡を
 貰い、ドキドキしながら看病したものです。芸者言葉
 と言うんですか「わっちは~」と相変わらず気風の良
 い言葉で送り出す文吉姐さんが芸者を続けながら子育
 てをしているのが、文吉姐さんらしくて素適です。
 

・その道 行き止まり
 不破龍之進は古川喜六と共に「本所無頼派」の首謀者
 と見られる旗本格の薬師寺図書の次男・次郎衛の後を
 付けて


・君を乗せる船
 これがじわっと来て読んで
 良かったと思いました。



↑これが一番良かったのに、
 ジーンと来たのに力尽きて
 これ以上書けませんでした。
 (^^; (^^; (^^;





「さらば深川」宇江佐真理著 文藝春秋
―髪結い伊三次捕物余話―

さらば深川


文吉が深川を後にして伊三次の元に
身を寄せる子とになるまでの話。

(あらすじ書くのも疲れまして(- -ヾ)





ああ~~頭が働かないんです。
痛いです。

そのうち本の感想の方は手直しします。
多分。。。。。。(^^;







「甘露梅 お針子おとせ吉原春秋」 宇江佐真理著 光文社 06・4・28

前年の春に岡っ引きだった亭主の勝蔵を亡くしたおとせは、
息子が所帯を持って家が手狭になった為に住み込みのお針子の仕事を
斡旋してもらった所、新吉原の女郎屋「海老屋」を紹介されて大層驚いた。
息子に相談するとあっさり賛成されたため、おとせは半ば自棄のように
引き受けた。
慣れない新吉原での生活だが、季節を彩る行事が多く催されたり、
お針子としての腕を買われて女郎達から名指しで仕事が来るようになって
段々と馴染むようになっていた。
親切な引手茶屋「花月」の主が折々に助けてくれるようになったり、
花魁たちの色々な事情が分かって来たりの中で、おとせは店の子達の面倒を
親身になって見る様になった。

感想・江戸時代物の小説は、いつも暖かく人情味に溢れているので
心が温まる。誠意と人情。時代の流れと生まれ持った身分。まるで
全てを受け入れてゆったりと「時」を楽しみながら生きているようだ。
うらやましい。







「寄物」 石月正広著 幻冬舎 06・5・1 

短編集。
・寄物 山形か秋田のあたり海辺の極貧の村の少女の話。
    沈没した船の荷が浜辺に着くと「寄物」と言って村中で荷を拾う。
    しかし食べる物が心許なくなると、網元の岩太夫が指図して
    夜の焚き火で商船をおびき寄せては襲っていた。しかも秘密を守る
    ために男は皆殺し、女は網元の家に連れて行かれた。
    スエは婆さんと小屋で二人暮しをしながら、毎日浜辺の寄物を
    見張る役目だった。スエが13の時、幼馴染みの磯吉から「スエは寄物    で母親は網元の家に連れて行かれ、父親は村人から殺された」事実を    聞いた。父親は武士で長崎で医学を学び、津軽藩に帰る所を襲われた    のだ。しかし何も出来る事も無くスエは15で女郎屋に身売りされた。
    磯吉は襲って手に入れた金子を少しずつ貯めてスエに会いに行き、ス    エから「あの村は狂っている」と言われ、磯吉は考え出した。
    殺して来た人々にも愛する人や待っている人がいる事を初めて考える    ようになったのだ。磯吉は何とか村人が船を襲う事を止めさせられな    いか、スエを身請け出来ないものかと考えて、スエの母親に相談を持    ち掛けた。そして津軽藩に直訴するために旅に出る事にしたのだ  
    が・・。


感想・極貧と無知と独裁とが招くおぞましい村人達と犠牲になる人間達。
おぞましい設定の、救いのない結末の、どうしようもなく暗い話です。

・恋文 津軽藩、足軽肝煎の望月清右衛門(27)は真面目で硬い男だが、犬小    屋を普請せよと老中より藩に命が下って江戸に向ったが、商家の娘に    一目ぼれをした。津軽に帰ってからその娘を嫁がせようと役儀に用い    られたのが山内政之助である。政之助が芝に辿り着いてからおかしな    事が続くようになった。清右衛門が書いた恋文を盗まれたのだ。

感想・じりじりじりじりと不手際と罠にはまり込んで行き、政之助が穴の底に
落ちて行くのがぞっとした。この人はこういうおぞましい、不幸な話が得意らしい。これ以上読むと精神に影響を来たすと思い、二話で中止しました。






「ラトクリフ街道の殺人」P・D・ジェイムズ&T・A・クリッチー著 国書刊行会
2006・5・3

1811年12月7日(火)の深夜。ロンドンのイーストエンド、ラトクリフ街道沿いの洋品店の主ティモシー・マー氏(24)と妻のシーリア(24)その息子ティモシー(3ヶ月)と下男の少年ジェイムズ・ガーウィンが惨殺された。
あまりの残虐な殺し方にイギリス中が大騒ぎとなり、家や亡骸を見に大勢の人がマー家を訪れた。まだ警察機構が浸透していなかった時代に殺人事件の捜査をする事は大変難しい事だった。
これは史実であり、沢山の歴史的資料を調べて事実を並べて行った小説です。

感想・まるで資料書のようにその時代の状況説明や、入り組んだ警察機構や強い教会の警備隊や自警団の話やらが実に丁寧に調べて書いてある。
だから資料書として読めば、当時のイギリスの様子がとても分かり易く書いてある。しかし小説的な面白みは余りない。
まだ途中ですが、疲れて放棄するかも。





「アウトローのO」 スー・グラフトン著 早川書房 2006・5・6

34歳の私立探偵キンジー・ミルホーンは21歳の時に1度目に結婚した
ミッキー・ミルホーンの貸し倉庫が未払い流れになって買い取った
荷物の中に、キンジーの荷物があるので買い取らないかと
スカヴェンジャーから連絡をもらった。その荷物の中から元刑事の
ミッキーとキンジーの離婚の原因になった元ベトナム帰還兵の死に
ついて新たな事実が出てきた。自分の判断ミスかとあせりを感じて
ミッキーを探し始めた所にロサンゼルス市警の刑事が訪れた。
先週ミッキーが撃たれて重態だと知らされて、昔と現在ミッキーに
何があったのか調べ始める。

感想・読みながら次はこうなるんだった~、ああこれ知ってる。
あら、やっぱり二度目でした。時々無茶な事をしながらも
少しずつ事実に近寄っていくのだけど、そうね、やっぱり少々
こじつけが見える事もあります。でもすーっと読めてさっぱりと
終りました。




「死亡推定時刻」 朔立木著 光文社 2006・5・7

山梨でも有数の土建会社の社長の一人娘が誘拐され、
警察の独断で金の引渡しを邪魔した翌日に娘が死体で
発見された。たまたま山菜取りに山に入った青年が
驚いて逃げた所を死体第一発見者に見られ、その青年が
犯人として過酷な尋問で追い詰められて、してもいない
殺人を白状させられた。犯人では無い証拠は隠され、
冤罪が作り上げられて行く。そして弁護士は何も弁護は
せず、死刑を宣告された。控訴が通って国選弁護人の
川井倫明が事件を調べて行くうちに冤罪を確信した。
川井の証拠探しと事件の調べ直しが始まった。

感想・きっちり書いてあります。堅くて確かな文章。
隅々まで行き届いた構成。法律・警察機構・裁判官・
検事の事情がやたと詳しいのだが現役法曹界関係者
だそうです。恐ろしい冤罪の作り方をまざまざと
見せ付けられました。
一度走り出すと止まらないんですね。本当に犯人か
どうかよりも、警察関係者の事情でどんどん歪めれて行く
恐ろしい話でした。
しかも幾ら証拠があっても裁判官の裁量で蹴り落とされたら
それで道は開かないんですね。
以前にも冤罪の本を読んだりドキュメントを見て思った
のですが、人が思い込むと真実は見えなくなるんですね。
その刑事にとって、思い込んだものが真実に摩り替わって
しまって一方向からしか物事を見ようとしない。
今もごろごろあるんでしょうね冤罪。



「女彫刻家」 ミネット・ウォルターズ著

あら筋
母親と妹を切り刻み、それを再び人間の形に並べて台所に血の抽象画を描いた女、
オリーヴ・マーティンは「彫刻家」と呼ばれている。
フリーライターのロズは、オリーヴの本を書くために服役中のオリーヴと面会し、
インタビューを通してオリーヴが本当に殺人者なのかという疑問を抱き、
取材を重ねるうちに様々な埋もれた事実を掘り起こして行く。



五分の一読んだあたりで「これ以前に読んだ」と気付きました。
本当に最近記憶が危険です。ううう。。。

非常にクオリティーの高い作品でした。
時間をかけてじっくり楽しみつつ読みました。
楽しかったです。恐かったけど。
ロズもハルも好きです。





「着物でリフォーム3」
箪笥に眠る着物・羽織で作る 

岡嶋寿子著 世界文化社

着物でリフォーム(3)

すごく個性的で素適な服ばっかり!
欲しい!でも着物を持ってないです。
普通の生地で作れないものか?
と考えています。





「布の重なり、つぎはぎの美 ポジャギ」 
 崔良淑著 日本ヴォーグ社

布の重なり、つぎはぎの美ポジャギ

韓国のパッチワークのような手芸ですが、
薄い布が重なり合った所の美しさが初めてで
とても新鮮でした。
繊細で素晴らしい芸術作品みたいです。
とっても素適です。
タペストリーや暖簾を作ってみたいです。





「ビーズ&ワイヤーで作るアクセサリー」
 デザイン:ビーズファクトリー 雄鶏社

ビーズ&ワイヤーで作るアクセサリー

ちょっとクラシカルな匂いのする
こんなビーズ類が大好きです。
でも作りながら全く苦労しないと
作れる自信はないですね~。
とても綺麗で繊細で
ちょっと素朴で好きです。





「精霊と出会う庭 The Garden with Fairies」
 ケイ山田著 信濃毎日新聞社

The Garden with Fairies

薔薇が中心の
美しいイングリッシュガーデンの
写真です。
あああ~~ため息が出ます。
自分の庭って。。。
整理整頓が出来ない所が
庭にも反映されるんですよね。






「無農薬で庭づくり」
 ひきちガーデンサービス 
 曳地トシ・曳地義治著 築地書館

無農薬で庭づくり

コンポストに発生したうじ虫の対処法や
ナメクジの対処法・
オーガニックガーデンのポイント・
等などが分かりやすく書いてあります。

虫の存在意味や
無農薬で育てる方法や
病気について書いてあります。
分かりやすくて良い本に出逢いました。






「庭木・野菜・草花の病気と害虫対策」
 牛山欽司著 成美堂出版

家庭でできる庭木・野菜・草花の病気と害虫対策

害虫や病気の葉っぱの写真が
沢山載っています。
見ていたら自分も病気になりそうです。





●今読んでいる本●

「鉄の枷」
 ミネット・ウォルターズ著 東京創元社

鉄の枷

鉄の枷
読んでいるのはこちらの方です。

これも二度目です。
これは題を見て読んだ記憶がすぐに出ましたが
「女彫刻家」のようにじっくり味わいつつ
読み直してみようと思いました。
  







「冷たい校舎の時は止まる」上・中・下
辻村深月著  講談社NOVELS

冷たい校舎の時は止まる(上)冷たい校舎の時は止まる(中)冷たい校舎の時は止まる(下)
    
第31回メフィスト賞を受賞して
デビュー(1980年生まれなので
当時は24歳くらいでしょうか。女性です)



県下一の私立進学校に閉じ込められた
高校3年生の男女8人が
閉じ込められた謎を解明していくのです。


感想を詳しく書くと
ネタバレになるかもしれません。
これから読みたい人は読まないで下さい。


人の心の描写が
とても丁寧に書いてありました。

読みやすいのですいすいと読んでいましたが
途中で、甘く見てはいけないと思いました。

一人一人の抱える問題が少しずつ表れて来て
物語の持つ問題点が少しずつ浮き出てきました。

これを書いた時は多分22~24歳頃と思われ、
若いのに人間の心の歪みや組み立て方など
とても知っている方だと感心しました。


なんですか推理物だと思って読んでいたら
ホラーみたいなシーンがあって
ワタクシ、ホラーは読んだり見たりしないんです!!
恐かったです!!!

あんなに恐くしなくちゃ
いけなかったんでしょうか?(||゚Д゚)ヒィィィ(゚Д゚||)


迫力満点でした。




8人ともそれぞれに
好きな人ばかりでした。

登場人物を好きになれるって
私にとっては
本を読み進む上では大事な事です。

この人と友だちになりたい、
この人のこの部分は似ている。
この人のこの部分は私には無い。
この人のここは理解できる。
この人のここは憧れる。



「下」では
菅原君の中学生時代の思い出が
詳しく書かれているのですが、
とても心温まる内容で、大好きです!!

勿論心温まるだけじゃないわけですが、
読んでいるうちに何の本を読んでいるのか
本筋を忘れました。

完全に菅原君の青春時代に
心は持って行かれました。

後になれば、
その素晴らしい話もまた
大事なピースだった事が分かるのですが。



途中、誰が死んだのか
私は分かりました。
でも、あまりに盛り沢山の仕掛けがあって
ラストの方では全く参りました!
と思いました。


とても濃くて充実した本でした。
しかもラストも良かったです。
これも大きいです。
読後に大きな悲しみを引きずっているのは
苦しいですから。

8人がそれぞれに自分の生き方を探して
生きて行くのはうれしい事です。



辻村さんの本は
第二弾第三弾と出ているようなので
楽しみです。

桜梅ゆり様
充実した作家さんを教えて下さり
ありがとうございました。m(_ _)m




「湖底の家」 スチュアート・ウッズ著   ←クリックすれば作品リストへ
矢野浩三郎[訳]  文春文庫

湖底の家

(幾ら探しても画像が無いので
 自分で写真を撮ったため反射しました)



●ストーリー

新聞社を辞めて、生活に頓挫しかかっていたハウエルは
エリック・サザーランドが創り上げた美しいダム湖の町
にやって来た。

フライドチキンで成功を収めたラートン・ピッツのゴース
トライターを極秘裏にやろうとしての事だった。

ピューリッツァー賞を取った事のあるハウエルにとってゴ
ーストライターになると言う事は、それまでの記者生活や
自尊心を捨てる事になってしまう。

なかなか仕事に没頭できないでいる所に、この湖の底に
沈む村や以前の谷の住人達の謎めいた話が入って来て、
思わず謎解きに奔走してしまうハウエル。

訪ねた先の保安官事務所で、名前を変えて事務員として
働いている駆け出しの記者のスコッティに出会い、彼女
が保安官の麻薬取引を追い駆けている事を知る。

そしてハウエルが住み付いた丸太小屋には怪奇な現象が
次々と起きる。


●感想

スチュアート・ウッズの小説は「警察署長」が有名だが、
私はこの「湖底の家」の2作後に書かれた「パリンドロー
ム」がとても印象深くて特別な小説として心に残っている。

ウッズの作品は何冊が読んだが、作品毎にイメージが随
分違っている。

この話は現実と幻影とが交差して、謎めいた印象が強い。

しかも、ラストで明かされる結末は様々な事が絡み合い、
驚くほどに繋がっていた。

なんと悲しくも哀れな話しだろうか。

そのくせ読後感は爽やかでこの事件でそれまでの生活に見
切りを付けて新生活に漕ぎ出していくハウエルのその後の
生活を応援したくなった。

まあ、凄まじい絡み具合があまりにも上手く解決した事が
ハッピーエンドと言えるのか、都合が良すぎると言えるのか。

ハウエルは良いけれど、これから先にスッティは徐々に神
経を蝕まれて行くのではないかと思わずにいられない。

でも、あっという間に読み終わらせる強い力を持った、読み
応えのある一冊だった。

ああ~~~~充実感!面白かった!!!
★★★★!(_≧Д≦)ノ彡☆




パリンドローム
注:パリンドロームとは回文の事。






  
「アースクエイクバード」

スザンナ・ジョーンズ著 
阿尾正子=訳 早川書房
2001年英国推理作家協会賞最優秀新人賞受賞


アースクエイクバード
(楽天にはなかった)



■あらすじ

故郷のイギリスを捨てて日本に来て10年のルーシー・フライは
渋谷のある会社で翻訳の仕事をしている。

ある日、知り合いのイギリス人女性リリー・ブリッジスのもの
と思われる遺体の一部が東京湾から上がり、ルーシーは殺害の
容疑者となった。

ルーシーの回想が恋人の禎司との印象深い出会いから、イギリ
スで兄や、初体験の相手や、日本で趣味で知り合った友人が死
んだ事を辿って行く。



■感想

印象を文章にしたような小説だと思った。

こんなに日本の文化になじんでいるイギリス人がいるんだと
驚いた。

だって文章を読む限り、イギリス人と言う事を忘れてしまう。
翻訳が上手いのかな?

作家自身が日本に何度も訪れて働いている。

日本文化の良さは外国の人から見たら、全く違った良いものが
見えるのだろうと思う。

私は日本の悪い所が沢山見えてしまう。
客観視できないからかな。
これは自分を知る事とも同じだと思った。

禎司がBUMP OF CHICKENの藤原基央君みたいだ。
性格は違うけれどビジュアルとかもし出すイメージが
藤原君みたいだ。

これは推理小説なのかな?
雨の中の残象みたいに淡く歪んで透き通っていて静かだ。







●読んでいる本●


「毒になる親」

スーザン・フォワード著
玉置悟=訳 毎日新聞社


毒になる親

毒になる親



■題

前回からの続き

第一部「毒になる親」とはどんな親か

 六章 暴力を振るう親
  
 七章 性的な行為をする親

 八章 「毒になる親」はなぜこのような行動をするのか


第二部「毒になる親」から人生を取り戻す道

 九章 「毒になる親」を許す必要はない

 十章 「考え」と「感情」と「行動」のつながり

 十一章 自分は何者か――本当の自分になる

 十二章 「怒り」と「悲しみ」




■感想

どんな親がいて、子供がどう影響をうけるのか。
影響はどう出てくるのか。

親のコントロールに振り回されているのか。
親によって大人になってもコントロールされている。



中盤からは自分の人生を取り戻すための取り組みが
書かれている。


とても分りやすくて、分析し易くて、素晴らしい本だ。

これは手許に置いて、自分で毎日照らし合わせて
自分を知りたい、自分を変えたいと思った。

だから今日、アマゾンに注文した。
(だって楽天よりすごく安いんだもん)


夫にも読んでもらえば、
自分を取り戻す助けになると思った。


どこを読んでも納得が行く。
どこを読んでも経験していると頷く。

環境とはここまで大きい物だと
改めて認識して驚いた。



あらゆる人が
読めば助けになると思った。

自分を自分の手に取り戻し
楽しく生きるために助けになると思った。


評価 ★★★★★!!!!!!






●読んだ本●

「囁く谺」 ミネット・ウォルターズ著

創元推理文庫

囁く谺



■あらすじ

ロンドンのテムズ河畔に立つ高級住宅街の
ミセス・パウエルの車庫の中で、

ホームレスのビリー・ブレイクが餓死を
自ら選んで死んでいた。


イギリスの貧困とホームレスに関する特集を
企画して調べていた雑誌記者のマイケル・
ディーコンはミセス・パウエルに取材を申し込んだ。

事件が発生した当時は取材を断っていた
ミセス・パウエルだが、ビリー・ブレイクが何故

自分の家の車庫に辿り着いて、眼の前に
冷凍庫があるのにも関わらず、角氷を齧った

後はあるが、食品には手を付けずに死を選ん
だのかを知りたいと思い、ディーコンの取材に
応じる事にした。


ディーコンはビリーが塒にしていた倉庫跡で取材
をしてテリー・ダルトンと言う14歳のホームレスと
出逢う。


ミセス・パウエルの近所では弁護士を引退した
老人ローレンス・グリーンヒルと出逢う。


ディーコンの同僚で写真のエキスパートである、
孤独な三十代の独身男バリー・グローヴァー。

これらの男4人がビリーの人生を、ホームレスに
なる前の人生を掘り起こそうと知恵を寄せ合う。


ビリーの抱える問題にテリーが口を出して解け
始める。


バリーが自らも気付かないようにと逸らして来た
問題が浮上してくる。

孤独な老ローレンスも楽しげに加わり、少しずつ
ビリーの姿が見えてくる。



それは愛に満ちた知的な四十代の姿だった。

二十歳以上も年を偽っていた、老人にしか
見えなかった痩せこけたビリー・ブレイク。


何故ビリーは年を偽り、自らを罰して極寒の日に
裸になったり、手を火にさらして火傷を負い、全て

の指が曲がってしまうような事をしたり、
聖母子像を歩道に描いたり、
毎夜絵を描いては燃やしていたのか。

ミセス・パウエルの車庫を選んで
死を選んだのは何故なのか。


疑問が次々に湧き出てきて、
ディーコンは奔走する。


硬い殻で自分を守っている
美しいミセス・パウエル。

ビリーとミセス・パウエルの関係はあるのだろうか?




■感想

これも読むのは2度目だ。

カウンセリングや「毒になる親」を読んだりして
人間の心理をより知るようになったので

今まで気付かなかったり
見えなかった物が見えて
実に深く見えるようになり面白い。


沢山の人や出来事が絡み合っており
とても複雑だ。

でもディーコンが巻き込まれて行く過程が
結構楽しくて面白かった。

災難が集まって来ているかのように見えて
実は問題提起となって、
少しずつほどけていく。


冷たく美しいミセス・パウエルの硬さとその
裏にあるものが良く分かったし、

ディーコンやバリーの抱えた問題について
すぐに色んな背景が見えて来た。

男同士で困りつつもわいわいやっている
ディーコンの毎日がとっても楽しかったです。


以外と明るい気分で読み終わりました。







●読んだ本●

「蛇の形」 ミネット・ウォルターズ著 
創元推理文庫

蛇の形



■あらすじ

イギリス、ロンドン南西部のグレアム・ロードに住んでいた
教師のミセス・M・ラニラ(24歳)は1978年の冬に

家の近くで傷だらけで倒れている”マッド・アニー”
を発見して救急車を呼んだ。

しかし救急車が着いた時には
マッド・アニーは既に亡くなっていた。


”マッド・アニー”ことアン・バッツは
グレアム・ロードに住む唯一の黒人であり、
人付き合いを拒絶している大柄の女性だった。

アン・バッツはいつも体を揺らしておかしな歩調で歩き
顔をしかめたり、ぶつぶつつぶやいたりするため
”マッド”と呼ばれるようになった。

アン・バッツの意地の悪い噂が飛び交い
子供達はからかって追い掛け廻し、

両隣の住人からはしばしば警察に
苦情を申し立てられていた。


警察は評判の良くないアン・バッツの死因を
ろくに調べもせず、

酔って道に出たために
それと知らずに大型トラックに撥ねられたのだろう

と言う事に収めようとした。


ミセス・ラニラはアン・バッツを見つけた時に
目と目が合って意思の交流を感じて
彼女の無念を知り、

また彼女の状況が事故死とは思えない
様々な事があったため

担当刑事に何度も掛け合ってみたが
無視されただけではなく、

脅しや脅迫電話、手紙が届き
ミセス・ラニラは精神的に追い込まれて行き

夫との間は険悪なものとなり
教師を辞めて家に閉じこもるようになった。


しかし、
最後には両親の説得に応じて

夫と和解をし、
夫の海外赴任に付いて行く事となった。



そして20年後に、
夫の病気を機会にイギリスに戻って来た
ミセス・ラニラは

20年の間に
イギリスの父や友人を通してかき集めた
沢山の情報を元に

アン・バッツの本当の死因を暴き始める。







■感想

ミネット・ウォルターズが言いたかった
人種差別よりも
人間差別を感じました。

物事の裏にある事実は
隠されたら見つけようが無く

埋もれてしまった事実は
そこら中に溢れているに違いないと思いました。


そして20年と言う長い期間で
十二分にエネルギーを蓄えたミセス・ラニラが

反撃に出る様は
その20年間の思いの重さも加わり

その間に蓄積された証拠や推理によって
迫力に満ちて恐ろしいほどでした。


途中までは面白く読んでいたのですが
段々、ミセス・ラニラの怨念のような執念深さが

恐ろしくなって来て
逃げ出したくなりました。


でも読んで行くうちに
何故そこまでミセス・ラニラが

アン・バッツの死の正義を求めるのか分かって来て
納得が行きました。


しかしミネット・ウォルターズは
すごい作家です。

ですが人の心の構築について
最近色々と知るようになって読むと

こんな環境で
こんな人間になるものだろうか?

この親の元で育って
根源的な歪みが別の方向に出ないだろうか?

などど穿った見方をしてしまい
単純に楽しむだけが出来なくなった気がします。


そしたら
本気で楽しめる作家が少なくなりそうだと
悲しい事実を発見してしまったのでした。



総合的に言うと
とても迫力のある小説でした。

主婦を侮ってはいけないですよと
苦い笑みと共に言ってみたい作品でした。( ̄ー+ ̄)











●「あの夏、風の街に消えた」 香納諒一著


あの夏、風の街に消えた




■あらすじ

小さい時に母親を亡くし、
父親が土地転がしの仕事で日本中を駆け回っているため
静岡の祖父母に育てられた師井巌(もろいいわお)19歳は
京都の大学に入ってバイトをしながら一人暮らしをしていた。

夏休みが始まった日に、父親から頼まれたと言う袴田風太
(20歳・サックス吹き)が現れて、強引に東京まで連れて行
かれた。しかし約束の場所に父は現れず、古い付き合いと
言う嶌久(しまきゅう・刑事)が代わりにやって来て、父が面
倒な連中から逃げているため、息子にも危害が加わらない
ように、しばらく新宿に身を潜めているようにと言う伝言を持
って来た。要領を得ない状況の中での父の電話は、益々
巌を混乱させた。

風太の案内で角筈ホテルで暮らし始めた巌の周りには、
カラスを連れにしている年齢不詳のスーさん・認知症で角筈
ホテルのオーナーのハルさん・ホテルに住み着いている教授・
風太のバイト先のテラさんとヤマさん・風太の演奏に惚れ込ん
で着いて来た貴美子さん・中国留学生の玲玉・他にも沢山
の人達と知り合い、事件に巻き込まれて行く。

やがて巌は見えて来た自分の生い立ちや家族の事。
学生紛争時代の残り火が、今も繋がっている人々の思いや
結び付きに翻弄されて行く。

19歳の巌が駆け抜けた新宿の暑い一夏。









■感想

なんと爽やかな物語だったろうか。


人が死んでいたり、
物騒な事件に係わり合いになって
危険を潜り抜ける事も何度かあったりするのだが、

多分、
登場人物一人一人がそれぞれの人生を

しっかり生きていて、
その断片がストーリーの一部を成しているので

どの人の行動や言葉も重みがあって、
暖かみや優しさがある。

そうだ、
どの人もみんな必死で生きていて

頑張っているから
とても暖かい思いが残るのかもしれない。



しかも巌がとても誠実で
気持ちの良い青年だった。

訳が解らないなりに懸命に走り回り、
自分で考えて判断して行動する。


19歳なのに既に親から自立して
生きている強さがあるんだ。

それなのに気負いは無くて、
しかも
孤独な人生が習い性となっており

一人でこつこつと積み上げて行くのに
周りの人にも出来る範囲で

コミュニケーションを取って
助けてもらいながらも、

決して甘えずに生きている。


厳しい事実を突きつけられても
大騒ぎするでもなく、

でも悲しみや重さに苦しみつつも
静かにじっと受け止めて生きて行く。


強い人なんだな~と思った。

この人と友達になりたいと思った。




読後感の爽やかさは格別で、

今の巌君はどんな大人なんだろうかと
微笑みながら考えてしまった。

この本の中では
19歳の巌君が生きている。

新宿のひと夏を思い出している
30歳の巌君も

今の時代を生きている。






最後の文章が胸をつかんで離さない。

「僕はこんなふうに思うのだ。

 大切なものはいつだって、
 手を伸ばせば届くところにある。」




この純粋さを忘れたくないと思った。


香納諒一の小説は始めて読んだ。
もっと読みたいと思った。






●読んだ本



「黒い嵐の惨劇 気象予報士の罠 」 川田弥一郎著





■あらすじ

気象予報士を目指す友音が
受験勉強をしながら、

共にエオリアンの講習会で学んだ
AV監督の死に際に合ってしまい、

気象予報会社エオリアンに関わる
殺人事件や謎を解決する。



■感想

気象予報関係の専門的な事が
沢山出て来るので

気象予報士になりたい人が読んだら
色んな面でのガイダンスになるな~と

思いました。


推理に関しては
一般人がそんな風に
突っ込んで行くのだろうか?

と疑問を感じました。


文章で、
時々気になる所がありました。

編集者がチェックしてあげたのかな?
なんて思いました。


筋に合わせて皆の行動の
無理矢理感が感じられました。

ラストも拍子抜けで
危険な連鎖になるんじゃないのかな?

と思っていたので

チャンチャン!
って終っでしまったぞ、と。


え~と、
書きにくいのですが

多分この方の本は
もう十分かな~~~。






●途中まで読んだ本


「さかしま砂絵」都筑道夫著




さかしま砂絵 都筑道夫
(表紙がこれです)



■あらすじ

【なめくじ長屋捕物さわぎ】シリーズの
終わりの方の本でした。

橋の上で男から川に落とされた女がいたのを
橋番が見たのだが、

亡骸が見つかったのは二日後で
亡くなったのは前日らしい事が解った。

さあ、もののけが出たのかと
騒ぎになった。



■感想

途中までしか読んでいないので
なんとも言えませんが、

世界観が出来上がっているので

これはシリーズの1番目から
読んでみたいと思いました。

面白そうです。








●読みかけの本●




「タンポポの雪が降ってた」 香納諒一著(短編集)



  




・「海を撃つ日」

 あらすじ
 
 新婚旅行でフロリダの船旅を楽しんでいた「ぼく」
 の前に現れたディック・モーガンとの交流と、共通
 の生い立ちを抱えて生きる重さと通過点。


・「タンポポの雪が降ってた」

 あらすじ

 アメリカに留学中の「シンジ」の所に、東京のバイ
 ト先で知り合った妙子が訪ねて来た。驚いたシンジ
 の思いは東京の学生時代に戻って行く。


・「世界は冬に終る」
・「ジンバラン・カフェ」
・「歳月」
・「大空と大地」
・「不良の樹」


 
感想

以前に読んだ「あの夏、風の街に消えた」がとても面白
かったので借りてみたのですが、順番に読んだ二つが何

かしら感傷的に過ぎて、私には合わなかったので、途中
で読むのを止めてしまいました(^^;

香納さんはきっと天涯孤独なのか、身寄りが少ないのか
とても孤独に生きて来たのか、寂しい子ども時代を過ご
したのだろうと思いました。






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